探索時間を削れ


昨年の全日本大会では5走目が時間切れになってしまった。あと10秒あれば時間内に走りきれた可能性もあるため、今年は探索時間の削減に取り組む。まず導入した探索走行の時間削減の内訳は以下のとおり
①不要なバック走行の削除
その場回転時に壁切れを確実に行いたいため回転後にバックする処理を入れていたのを見直す。左右の壁が確実に見えた場合にはバック走行をせずに、その場から次の走行に移る。バック走行は1秒未満だけれど32×32の迷路になると、その回数が多いので効くはず

②最短経路上の未探索区間の導出のタイミング変更
壁の反対に未探索区間がある場合に、袋小路に入らない場合は、未探索区間まで走りにいってしまうことを修正する。
現在いる区間に隣接している未探索区間までの歩数が長い場合には、いったん止まって未探索区間の再計算を行う

③オートスタートまでの待ち時間
探索ではないけれど、探索走行完了からのオートスタート開始までの待ち時間を7秒から5秒に短縮する。7秒は感覚的にも長かった

マイクロマウスタックチャン


マイクロマウスタックチャンはスタックチャンとマイクロマウスが合体したスーパーカワイイロボットです。
こんな感じで迷路を走り回ります

マイクロマウスタックチャンはM5Mouseをリスペクトしたロボットですが、M5Mouseと違い駆動系を含めてM5Stackのみで制御しています。また、電源もM5Stackに搭載されているリチウムイオン電池1セルで動きます。
M5StackのIO数でやりくりするために、モータはステッピングモータを利用してモータ制御に使うIOを4ポートに抑えています。また、前後左右の壁センサは[右前&左横]と[左前&右横]の2組のセンサをマルチプレクサで切り替えて使用することで、ADCポート2個と切換え信号、赤外線LEDのON/OFF用の合計4ポートに抑えています。

スカートの構造体


去年のモデルとの変化点として、2重構造のスカートの基板側のフレームをFRPの削り出し部品から、分厚い両面テープを細長く切ったもので枠を作った構成に変更している
この変更によって、フレームとスカートの境目に折れ目がつきにくくなった。また、作るもの簡単になった

マイクロマウス2023


大会を運営してくださった皆様ありがとうございました
探索と目標にしていたパラメータでのゴールに成功しました。そして運よく3位入賞とベストマウサーを頂きました
この2週間前の大阪電気通信大学自由工房での試走で課題を出しきったおかげでもあります

本番では久々に壁の少ない迷路の登場になり、探索走行ではほとんど全面探索になるほど振り回されました

2走目はベストマウサーの評価基準の「1回目のスタートから最初に操作者がロボットに触れた時までの最短完走時間を記録したマイクロマウスを評価する」の「ロボットに触れる」は物理的に機体に接触せずに例えば赤外線センサで操作するのは基準に適合するのではないか?などと思いながら(自立賞のノータッチにも同様の疑問)、探索完了後の7秒間に機体に外力(たとえば速度や回転)がなければ次の走行に移るロジックを実装したものが功を奏しました

3走目のパラメータは以下の値で予定していた最大パラメータです。九州地区大会よりも遅くしています
直線の最大速度は4.5m/s、加速度は25m/ss
斜めの最大速度は4.3m/s、加速度は22m/ss
ターン速度は1.4m/s




素晴らしい大会を運営してくださった皆様、ありがとうございました。

続・ピニオンの固定


ピニオンの固定からもう少し工法を変えてみた
ロックタイトでの固定に追加して、シャフトとギヤの境界部分にメタルロックを塗布。
そして、歯車の1歯の側面と、その1歯に接するシャフト部分とにマジックで色を塗る。もしピニオンギヤが滑った場合にはギヤとシャフトで塗布の位置がずれるためピニオンギヤの滑りを発見できる

ダイソーのタッパー


ハーフサイズマウスの収納にちょうどいいサイズのタッパーを見つけたので紹介

このミニパック角4P100mlx4は内寸法が75mm x 55mm x 25mmくらいでハーフサイズマウスより一回り大きいちょうど良いサイズだった

一番上の写真の中央(黄色の機体)では、ケースにマウスの外形と同じ型の固定具を作り、両面テープで固定して、マウスがタッパーの中で暴れないようにしている

メタルマスク版エンコーダの手触りとエンコーダディスクの追記


しばらく使った感覚では、先の基板版のエンコーダに劣る部分はなさそう。
さらに、もしかしたらLEDの電流をもっと小さくできるかもしれない。これは来年度試す


さて、このメタルマスク版エンコーダディスク。メタルマスクで作成したのは前の記事で触れていたのだけど、そのオプションについては書きそびれていた
このメタルマスクはJLCPCBで作成していて、作成時にElectropolishingのオプションを選択している。日本語で電解研磨というもので表面の凸凹を溶かして平滑で光沢のある仕上げにする処理だそう。
本来は狭ピッチ部品の実装品質をあげるためのオプションだけれど、今回はその処理がエンコーダディスクにうまく合致したようだ。

次に、話は変わって、このエンコーダディスクをメタルマスクの板から切り出すときの方法。今回はエンコーダディスクから延びる4つのタブ部分をカッターで切ってみたら、カッターの刃先と切断部の伸び?のせいでエンコーダディスクに応力がかかって、薄板なエンコーダディスクが曲がってしまった。
少しまがったエンコーダディスクでもセンサの読み取りには問題は見られなかったけれど、たぶん、リューターをつかって応力を少なくする切り出し方を試したほうがよさそうだった

メタルマスク版エンコーダ付きホイールの組み立て


光学式エンコーダNJL5820Rの続報で、エンコーダホイールをメタルマスクで作ってみた。その組み立て編

3Dプリンタで作ったホイールにPOM製の平ギヤと、ステンレスのエンコーダ孔を組付けたもの。ホイールは回転軸中央が凸形状になっいて、その凸部に平ギヤの中心の孔と、エンコーダ板の中心の孔とをはめ込み、接着して組み立てる

ホイールと平ギヤの接着にはセメダインPPXを使う(作業時間的に瞬間接着剤は使いたくないけれど)。接着剤はホイールの凸部から少し離れた周辺に塗布する(図の黄色箇所)。凸部のエッジにも塗布するとホイールと平ギヤとの間に隙間ができてしまう。これは平ギヤをはめ込んだ際に接着剤の逃げる場所がなくなるためなのか?

平ギヤとエンコーダ板の接着は時間余裕的に瞬間接着剤ではないものを使用したほうがよさそう。

クラッシュ時の止め方

 この記事はMicro Mouse Advent Calendar 2023の2日目の記事で、昨日の記事はなおフィスさんの「マイクロマウスで使ってるテストについて」でした。丁寧にモードを準備していると開発サイクルも短くできそうです。そして、「導入:テストの重要性」の項は必読

 マイクロマウスを走行させると壁にぶつかったり制御を失敗したりしてクラッシュする時が多々ある。クラッシュした後にさらに駆動モータやファンモータを動かし続けているとそれらのモータが故障したり、マイクロマウス本体が破損したりする
 そのため、クラッシュ時には即時に各モータを止めたいと思うものの、一方で、軽微な壁への接触や制御目標値との差で止めるてしまうと完走できるはずの走行を諦めてしまうことになる
 そこで、今回はそのようなジレンマを解消できるかもしれない異常状態の判定を紹介する
 マイクロマウスSpangle V5にはクラッシュ判定として①直線走行時に速度が閾値を下回る時間が続く場合②目標角度との差が閾値よりも大きい場合③ターン走行中に制限時間を超えた場合、の3つを搭載している

 一つ目の処理は具体的には、速度が目標値の半分よりも遅い時間が0.5秒続いた場合に異常状態と判定する。こうすることで、駆動モータが停止にいたらない状態を検出できる。また、一瞬の壁への接触などで一時的に速度が低下した場合の誤判定を防げる。
 二つ目の処理は具体的には、直線走行(斜め直線も含む)に中に目標角度に対して30度ずれた場合、ターン中に目標角度に対して90度ずれた場合に異常状態と判定する。これによりターン中にスリップして角度が著しくずれた場合、斜め直進中に壁に触れて大きく姿勢を崩した場合といった場合を検出できる。
 三つ目の処理は具体的には、各ターンの曲がり始めから曲がり終わりまでに0.5秒の制限時間を設けるもので、その時間を超えた場合、すなわち壁に当たった状態が続く場合、あるいは、(バグで)処理が終わらず回転を続けた場合を異常状態と判定する。

 そして、上述の3つの判定のいずれかで異常状態を検出した場合は停止処理に移行する。停止処理は駆動PWMを0%(ON-Break方式のBreak状態)に設定して、機体の回転と速度が止まるのを待ち、止まったのを確認できたら吸引ファンの回転を止める。これにより安全に機体を停止でき、(吸引ファンを回し続けることによる)モータの消耗も抑制できる

明日は「私のセンサ回路について」です。どんな回路構成が出るか楽しみです